5S活動の進め方!5S活動の「状況認識」
ノンテクニカルスキルは、「状況認識」「意思決定」「チームワーク」「コミュニケーション」「リーダーシップ」「ストレスや疲労の管理」の六つに分類されますが、中でも「状況認識」はノンテクニカルスキルの源泉となるものです。
ノンテクニカルスキルの状況認識には次の三項目が含まれています。
1)事前及びリアルタイムにさまざまな情報を収集する
2)その情報にもとづいて、現状を正しく理解、把握できているか
3)事前予測と現状の比較、実施後の結果を予測する
5S活動の現場というのは緊急事態ではありませんので、このように分類する必要もないくらい当たり前のことですが、論理的に進めることにより問題点を絞り込むことができます。
<事例>
職場単位でグループを作り5S活動を推進している組織において、メンバーの中で最年長のAさんがリーダーをしている5Sグループでは、長年技能者として勤務していたチームメンバーのBさんのところには仕事の依頼が多く、全員で進めていた「仕事を見直しやり方を改善する」という改善時間もとれていませんでした。
やがて、Bさんは「仕事が忙しく5S活動をやる時間がない」と主張しはじめ、5S活動に対して非協力的になりチームワークを乱していました。
Aさんは何回かBさんを注意しましたが、Bさんの態度はいっこうに改善されません。さらに、他のメンバーも、先輩のBさんに対しては声をかけにくかったようです。したがって、全員一丸となって活発な5S活動をやるという方針からはほど遠い状況になっています。
※ノンテクニカルスキルの問題点
リーダーのAさんは、Bさんが日々の仕事に追われ、作業の見直しや改善に手をつけられていないため、他のメンバーより仕事のスピードが遅れていることに気付かなかった。つまり現状把握ができていません。
※状況認識の流れ ・・・上記の事例の場合
1) 情報を収集
- 仕事が忙しくて時間がないという感情は、一人だけでなくチームメンバー全員に広がっていた。
- 仕事の配分に不満を持っていた。
2) 状況を把握
- 今までといっしょで毎日が忙しいが、何故忙しいのか分析したことはない。
- 正しい情報に基づいても、人は勘違いや思い込みをすることがある。
- 労働時間に対する計画と実績を分析する。
3) 次に起こることを予測
- データに基づいて分析しないと思い込みが入っており事実でない可能性がある。
<ノンテクニカルスキルを学ぶ>
1.状況認識はノンテクニカルスキル発揮の第一段階です。ここでもっとも多いのが「思い込み」と言われています。同じ仕事を長いことやっていると経験豊富になり自信が出てきます。そして、忙しく、重要な仕事を任されていると思い込むようになり、自分の都合の良いように物事を考えるようになります。この中に次のような思い込みがなかったか調査が必要です。
・自信過剰
5S活動を軽視した自分勝手な思い込みはなかったか。
・誇張
仕事量を大げさに誇張し、仕事の忙しさをアピールしていないか。
・決めつけ
5S活動は役に立たないと勝手に決めつけていなかったか。
・気分まかせ
仕事の分担が不満であるという感情をぶつけて行動ではなかったか。
2.問題が発生しているかどうかを感じる意思がないと、その問題は発見できないばかりか、その兆候さえつかむことができません。問題を解決するという強い意識が欠かせません。